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小説「西の魔女が死んだ」 [書評・映画評]


西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)



近日公開される映画の原作本。この本があることはかなり前から知っていて興味もあったのだが、映画になると知って、急に読みたくなった。で、映画を見る前に読んでみることに。

魔女の血を引く少女が、魔女の大先輩である祖母の元で一ヶ月の魔女修行をする物語。
直接の修行自体は中途半端に終わってしまうが、祖母の元を離れても2年間自分だけで修行を続ける。
そして2年後、修行の成果を告げることもできないままに西の魔女が死んだ。
しかし、二人だけにしかわからない魔女の約束が果たされていた。

この物語が出版されて2年後に書かれた、後日談になる短編の物語が文庫本では追加されている。
新米魔女としての主人公が修行の成果を見せる物語。


などと書いていくと、どんなファンタジーかと思ってしまうが(事実、僕自身も映画化の話を聞くまでは、その映画の宣伝ポスターを見るまではそう思っていた)、実際には普通の日本の中学生の女の子の物語。どこにでもいるような、どこにでもあるような出来事の中でつまづいてしまった少女の物語。決してハッピーエンドというような劇的な解決はしないのだが、でもある意味での再生の物語。本当には再生しきれてはいないのだが。

ちょっと見方を変えれば、ちょっと修行をしてみれば、少しは変わってくるかもしれない。主人公のような魔女の成果は出なくても。
自分自身も大昔を思い起こせば、同じような思いを持ったりして共感できることがいっぱいあったり。ちょっと修行をしてみれば。わかってはいても、この物語の中の魔女のように修行不足を思い切り露呈させたりもするのだが。それもまたいい。

回りにけっこう魔女がいたりして。
中世の魔女裁判が起こる以前は、魔女もこんな存在だったのかもしれない。普通にいっぱいの人たちと同じように生活していて。それでいて、ちょっと他の人とはどこか違っていたりして。いわゆる価値観とか、何を一番大切にしているのかとか。

この小説が普通の小説でなかったのなら、「魔女の宅急便」などのように続編がいっぱい書かれたことだろう。逆に言えば、これが普通の人間の普通の生き方を書いた小説だからこそ意義があるのだろうと思う。

魔法ってもっとすごく身近な物なのかもしれない。
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