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映画「あぜ道のダンディー」 [書評・映画評]

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宮田淳一50歳。妻を早くに胃がんで亡くして、息子娘の2人を男手一つで育てたが、
「かっこいい父親」を演じるあまり、最近は子供達との会話がほとんどない。
自分の生き方を競馬で例えるならば、スタートでつまづき後方をただついていくばかり。
でも第4コーナーを回って直線に入れば、ごぼう抜きでトップに立てると信じて
毎日を生きている。
息子は一浪、娘は高校三年で、共に東京の私立大学を受験したのだが、父親には
相談も報告も何もない。
ある日宮田は胃の不調を感じ、勝手に妻と同じ病気、胃がんで余命3ヶ月ほどだと
思い込む。子供達に泣き言は言えない。「強い父親」を演じ続ける。
唯一素直になれるのは中学時代からの親友真田の前だけ。
子供達には偉そうな口ぶりだが、真田の前では駄目人間の泣き言を聞いてもらう。
7年間父の介護を終えて、その間妻にも逃げられ子どももいない真田は心の
どこかに喪失感を感じているのだが、そんなことを気にする宮田ではなかった。

子供達と最後の時間をどう過ごせばいいのか悩む宮田だが、今さら何を言えば
いいのか。行動は空回り。
しかし心は離れているようでいて、子供達はしっかり父親のことを見ていた。

最初はぶっきらぼうに見えた息子のしゃべり方が、実は父親譲りなんだとわかる。
真田に連れられた居酒屋で、息子は父と同じ調子で声を荒げる。
前半は会話のない子供達だったのが、ここから子供達の心情が現れていく。
子供達は父のことをしっかり理解しているのに、そのことに父親は気づいてはいない。
この年になって、今さらどのように向かい合えばいいのか。子供達も悩んでいた。

すれ違いの親子が、すれ違ったままそれぞれの人生を生きていく。
それでいて心の距離は本人達が感じているほどには離れてはいない。

片意地を張らなければ本当はうまくいくはずなのに。今さら弱音などはけない。

子供達が東京に引っ越す日、運送業の父親は自ら子供達の荷物を運んでいく。
気を張って出かけた直後の笑撃の出来事。笑ってしまう場面なのに、落ち込む
父親を子供達が必死にかばう姿にこの家族の絆と明るさを感じる。

デビュー作以来2度目の主役の光石研がつまらない父親を熱演。
こんな父親うざいなと感じてしまうが、こんな不器用な父親はけっこう多いと
思う。もっと自分をさらけ出せば何もかもうまくいくはずなのに、それが
できない悲しい世代。偉そうにしているが本当は何も出来ないということを
自分では認めたくないというプライドが邪魔をしている。
いつかはトップに立てると信じて生きているが、別にトップでなくても
いいのにと思ったり。
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