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書評「豆の上で眠る」 [書評・映画評]


豆の上で眠る (新潮文庫)

豆の上で眠る (新潮文庫)



主人公の少女が小学1年生の時、2歳年上の姉が行方不明になった。
2年後に発見された姉は、別人と思えて仕方がないまま大学生になった今、真の姉らしい人物を見かける。なぜかその人物は姉の友人だった。

タイトルと帯の短い紹介を見ただけで内容がわかってしまった。
13歳年上の義兄が就職した時に、僕と4歳上の兄に童話集を買ってくれた。僕にはグリム童話集を、兄にはアンデルセン童話集を。兄の持っていたアンデルセン童話集に、この話の元になった童話が載っていた。理解不能な物語だった故に、半世紀経った今でも鮮明に覚えていた。蛇足ながら本好きだった二人とも、小学校で開催された物語朗読会のクラス代表になり、僕は自分の童話集から、兄も何故か僕の童話集からの1編を読んだ。

閑話休題
姉が行方不明の2年間で主人公の人生は変わってしまった。
発見された姉は2年間の記憶を無くしていたと言うが、失踪前の記憶は完璧だった。なのに最初の違和感は、主人公の不注意で姉の顔に付けてしまって、一生残ると言われていた目の横の傷がなかったこと。そして現代になって、姉と一緒にいる友人らしい女性にその傷があったことが13年の時間の流れを越えて確信になった。

まあ第1章でこの場面が出てきた時点で、謎の背景は読めてしまった。僕自身が同じテーマでの小説http://www004.upp.so-net.ne.jp/tanzent/novel/byakuya.txtを書いていることもあったのだが。

そんなこともあって、どういう落ち着き方をするのか、それだけの興味で読み進めたのだが、きわめて普通の結末だったので、ちょっとがっかりもしている。
おまけに湊かなえらしくもなく伏線が一つも無い。
つっこみどころもいっぱいあったり。
亡くなった祖母は真実にたどりついていたらしいのだが、事情が事情なのだから、家族にだけは真実を告げておいても良かったのではないだろうか。はっきりと口に出して疑惑を告げる人たちもいたのだから。
そして、その2年間を含めて、失踪した姉が一度たりとも元の家に戻りたいとも思わなかったことが不思議で仕方がない。帰れない事情があったとも思われないのに。

主人公にとっては自分一人蚊帳の外に置かれたままになって、おまけに猫アレルギーが判明した姉のために愛猫と悲しい別れまでしたというのに。ラスト叫ばずにはいられない心境はよくわかる。こんなこと隠すことではなかったのに。

失踪中の2年間、姉の生活が結局はわからないまま。何を考えて過ごしていたのか。

最後に、猫を現在飼っている身としては、この本を読み返すのはつらいなと思ってしまう。

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