So-net無料ブログ作成
検索選択

コミック「将棋めし」 [書評・映画評]


将棋めし 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

将棋めし 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)



将棋のプロ棋士が対局中の食事休憩に食べる食事を題材にした
コミック。
と言っても、単なるグルメ本ではなく、その食事が対局にも
影響しているという。嘘のような、現実にもあり得るような
物語。
単に冗談で書いたと思われがちだが、対局図にはプロの監修が
入り、作中のある対局では、初手から終局まで正確な棋譜が
付けられている。

主人公は、プロ棋士の父と女流棋士の母を両親に持つ、現実世界
ではまだ一人もいない女性ながら奨励会を抜けた女性のプロ棋士。
もっとも、変わり者の父は東京一人暮らし。冷蔵庫のプリンを
3個とも一人で食べてしまう天然系の夫とは一緒に暮らせない母は
一人大阪に残り、小学生でプロ入りを決意した主人公は父の元で
修行をしてプロになったという。

いきなり第1章(作中ではタイトルに合わせて「第1食」と
なっている)ではタイトル戦最終局で、なんとタイトルを
奪取している。そればかりか、載せられている彼女の対局すべて
勝利という。

同年齢で奨励会も同期という友人2人は彼女を女性とは思って
いない。気持ちがいいくらいにさらっとした関係。
対局相手の中には、実在の棋士を彷彿させる人も出て来るが、
あくまで気のせい。

設定だけが借り物の、あり得ない将棋漫画もある中で、将棋に
詳しい人でも十分満足できるマンガというのも珍しい。
千駄ヶ谷周辺には料理店もそんなにあるわけではないから、
ネタ切れしないかが気になるところが。



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:コミック

書評「花の鎖」 [書評・映画評]


花の鎖 (文春文庫)

花の鎖 (文春文庫)



同じ町に住む「花」「雪」「月」を名前に持つ3人の女性の物語。
全体で6章まであり、各章に3人の物語が並行して描かれている。

と言っても湊かなえのことだから油断してはいけない。
だまされるな。
第1章を読んだ直後から感じていた。同じ町の商店街、
花屋に和菓子屋が出てきても、同じ時間軸にいるとは
限らないぞ。クロスオーバーする人物が出てこない限り、
おそらくは時代が違う可能性がある。
共通して出て来る人物もいることはいる。しかしその
人物は、すでに亡くなっている、この町にゆかりのある
世界的な画家。その画家の描いたある幻想的な絵が重要な
鍵として3つの物語をつないでいく。

第2章以降を読んで、確信した。時間軸がずれていると。
そして第5章に入ってネタばらしが始まる。クロスオーバーする
人物が現れた。しかし年齢に明らかな違いが。

最終第6章に入ると、解決編になるのだが、ここでこれまでの
パターンを捨てた。これまで「花」「雪」「月」の順に
書かれていた物語が、順番を変え、「雪」「月」「花」の
順になっている。そして第6章のみ章題がつけられた、
「雪月花」と。
この言葉を聞いてすべて合点がいった。
それと同時に、この物語の主人公は「花」なんだなとも。
いわゆる「花」で始まり「花」で終わる。第1章で大きな謎を
持ち込み、最終章でその謎が明かされる。それも「花」の
物語部分で。

もちろん途中にヒントもくつかある。

「花」には祖母と母と本人の関係がしっかり書かれているが、
「雪」で出て来るのは自分と夫とのことのみ。母もいるには
いるがほとんど登場しない。
「月」には母子家庭として母との関係のみが描かれる。

「花」の祖父は早くに亡くなっており、両親が事故で二人とも
同時に亡くなっている。家族に男は現在いない。
「雪」夫妻にはまだ子どもはいないが章がすすむと妊娠
思わせる描写が出て来る。そして「雪月花」。
「月」の父親は本人が生まれる前に亡くなったと言う。

「花」の家に毎年豪華な花束が「K」というイニシャルだけで
贈られてくる。「K」とは一体誰なのか?それが全体を貫く
ミステリーにもなっている。
「月」に1回だけ「K」のイニシャルでの手紙が届く。
もっとも差出人は大学時代の友人で、今は絶縁している相手と
すぐにわかるが。
「雪」では夫がサインとして「K]と書いたことが一度だけ出て来る。
もっとも3人とも周囲にはイニシャル「K」の人物は一杯出て来るが。


3つの物語はいずれも中盤まで湊かなえ特有の暗い物語である。
これが短編小説の連作なら、1つ終わって気分をリセットして
読み進めればいいのだが、3つの物語が並行して書かれる
この小説は、暗さが3倍になって、かなり読みづらい。
希望の光は、この3人の関係を推測して、それぞれに出て来る
登場人物が、他の話ではどこにあたるのかを考えながら
読むことだけ。気分的に重かった。
だから第5章でやっとクロスオーバーし始めて、3人の繋がりも
理解できて気分は落ち着いた。

並行して書かれてはいるが、実際には長い大河ドラマなんだろうな。
で、実は3作とも主要人物として一人だけ通してで出てきている
人物がいるんだということにやっと気づいた。気づくの遅いよ。
この人物からの視点で描くと、また違った物語になったんだろうな。
まあありえないだろうが。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
メッセージを送る