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書評「夜行観覧車」 [書評・映画評]


夜行観覧車 (双葉文庫)

夜行観覧車 (双葉文庫)



TVドラマにもなった家族崩壊の物語。
この手の小説は苦手なので、TVドラマも見なかったし、文庫本になっている湊かなえのミステリーの本でも読むのが最後になった。

高級住宅街に3年前にやってきた遠藤家では母娘の言い争いが近所にももろわかりの激しさで、いつ事件が発生してもおかしくはない状況だったが、実際に殺人事件が起きたのは、向かいの家で家族5人が幸せに暮らしていて何の問題もないような高橋家であった。
父の連れ子である長男は関西の大学の医学部におり、事件当日長女は親友の家に泊まりに行っていた。なぜか次男は事件が起きたその時刻に、あたかもアリバイ作りかのようにコンビニにいた。
殺されたのは家族にとても優しく、子どもたちにも慕われていて進路を強制しない理解ある父親。殺したのは、夫の連れ子である長男に対しても自分の二人の子どもと分け隔てなく育て、その影響もあって母違いであるにも関わらず兄弟仲の良い3人の子の母親であった。
次男は事件後行方不明に。長女は行く当てもなく、頼りがいのある兄の所に向かおうとした。研究室にこもっていて事件を知らなかった長男は妹からのメールで、遅れて帰郷。偶然3兄妹がそろい、これからのことを語り合う。
一方、事件は自分の家で起こったかもしれないと思いつつ、向かいの家の遠藤家でも最悪の事態を迎えようとしていた。

読後に嫌な気分しか残らないミステリーを「イヤミス」と呼ぶそうだ。湊かなえはイヤミスの女王とか。でも、僕はあまりそういうことを彼女の小説で感じたことはない。いつでもパンドラの箱の最後の希望は残されている。この小説でも、みんなが冷たい視線を浴びせる中、事件の中にいる長女の親友の家族は彼女のことを助けて上げたいと、変わらずに手をさしのべる。
事件をかき混ぜようとする野次馬おばさんも最終的には味方になってくれる。

不思議なのは遠藤家の3人。崩壊しきっているはずなのに、なぜか家族に会話が成立している。最終段階まで到達したにもかかわらず、3人そろってケーキを食べながら会話を行うことにすごく違和感があって仕方がない。あたかも殺し合うことがゲームかなんかのように。これがストレス発散のはけ口だとしても。

高橋家の仲の良い5人家族。長男が夫の連れ子であるという設定はどういう意味があるんだろうかと、ずっと思わせながら、結果的にはそのことが事件の中心だというのは、物語の設定としても伏線とするにはあまりにも不味いんじゃないかと。
そして、いくら家族再生の手段として兄妹が話し合い納得した結果としてもあの解決策は納得しがたいような。TVドラマの最終回のネタバレを読んでも脚本家は同じ事を感じたようで、あの解決策を言い争ってる場面があったとか。

絶対的な味方と兄妹の固い絆を持っている高橋家は良しとして、誰も味方がいない遠藤家はこの先どうやって家族再生を行っていくんだろうか。そう言う部分をイヤミスと言うんだろうかな。

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