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2017年08月02日| 2017年08月11日 |- ブログトップ

書評「絡新婦の理」 [書評・映画評]


絡新婦の理 (講談社ノベルス)

絡新婦の理 (講談社ノベルス)



主人公グループ一行が箱根での連続僧侶殺人事件に関わっていた時、唯一登場しなかった東京の刑事木場は東京・千葉で起きた連続目潰し殺人事件にかり出されていた。犯人は特定されているのだが足取りがつかめず、なおかつ被害者に共通点が見当たらず、次の犯行が予想できない。そんな中最後に起きた密室殺人事件での調査で、木場の友人が重要参考人らしきことが判明。会いに行けばちょうど担当刑事が踏み込んだところで、木場に出会ったその男は「蜘蛛に聞け」と謎の言葉を残して逃走。木場は事件重要参考人と友人であることから担当をはずされたが、独自の調査から密室の仕組みを解明。以前部下だった刑事を連れ、犯人達が千葉にある家族が死に絶えて空き家になっている家にいるのではないかという確信を得る。

同じ頃、被害者の一人である教師が勤めていた良家の娘が通う千葉にある女学院では、その教師が呪いによって殺されたという噂が起こる。そして別の犠牲者も学園関係者であり、学内では黒ミサが密かに行われ、「蜘蛛のしもべ」というグループがあることを女生徒である美由紀が知ることに。そして唯一と言える親友がある男性教師から陵辱されて、その男を呪い殺したいという願いからグループを調べるうちに、学内に大がかりな売春グループがあることを知る。そして呪いは現実と成り、学内で連続殺人事件が起きていく。

千葉にたまたまやってきた釣り堀の男は偶然美由紀の祖父と親しくなり、急遽現金が必要とのことで、海から拾い上げた謎の像が売れないか相談。前巻で搭乗した骨董屋に連絡。そしてすぐ近くに最後の女性が首つりをして空き家になった家に電気が灯っているのを見たという話を聞く。
折りから学園の創設者の家で相次いで家族が亡くなっていくという話から、無用な骨董品を始末したいということから釣り堀男と骨董屋はその家におもむくが、そこでまた殺人事件が起きて足止めされることに。

前巻で刑事をやっていた益田は警察署に嫌気がさし、探偵になろうと榎木津事務所を訪ねていた。ちょうど人捜しの用件で訪れた女性と巡り会い、その行方不明の男を3日以内で発見できれば雇っても良いと言われ、知らないことは何もないと思われる拝み屋京極堂を訪ねることに。たまたま榎木津に千葉の学園内の事件の依頼をしに、学園の理事長の弁護士をしている男がやってきて、二人して京極堂の所に向かう。そして意外なことに益田が女性から聞いた話と弁護士の話に共通点が多く見つかり、行方不明の男が学園の雑務係をしていることが判明、学園内で起きている事件の実行犯ではないかということがわかり、こうして京極堂を除くすべての人物が千葉に向かうことに。

事件は複雑な事態に陥り、学園閉鎖や一家絶滅も考えられる辞退と成り、まったく関係性も見られない2つの事件が、実はある人物の念入りに仕組まれた蜘蛛の糸によって仕組まれていることを京極堂は予想。そして、自分もその一端に組み込まれることを承知しながら、ようやく重い腰を上げることに。


相変わらずのとんでもない展開。
で、今度は不思議なことにまたまた主人公グループの一人が登場しない。
いや、事件にまったく関わらなかったため後に関係者一同の話を聞きまくるという、ワトソン役としてはありえない状況がエピローグで語られる。しかしこれにも理由があり、クライマックスで真犯人の計画がすべて完了してしまい、もはや駒が必要となくなったためにここで登場。そして京極堂より、実はこの事件はそれで終了したのではなく、本当の真犯人が別にいて、本当の真相が断片的に語られる。しかしすべては推論で、まったく証拠も無いから断罪できない。結局は京極堂でさえ、真犯人の手の内で踊らされたと言うことが語られる。ワトソン役の本来の主人公はこれを小説に仕上げられるか。

ただし真犯人が彼女だとすればその目的は何だったのか、それが不明となっていく。クライマックスで明かされた「真犯人」の方が動機等がわかりやすい。
まあ、隠された物でさえ見えてしまう探偵の能力のことを知っていて、その裏を掻くという芸当は真の犯人でなければできないことだからそれでいいのだが。

このシリーズを先に読破したうちの娘はこの物語が一番面白かったという。わかりやすいといえばわかりやすいからかも。
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