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コミック「3月のライオン 13 」 [書評・映画評]


3月のライオン 13 (ヤングアニマルコミックス)

3月のライオン 13 (ヤングアニマルコミックス)

  • 作者: 羽海野チカ
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2017/09/29
  • メディア: コミック


明日発売なのに、なぜか今日本屋に並んでいた。

空前の将棋ブームの立役者の一つ。
しかし、この春公開された映画を見るまで大きな勘違いをしていることに気がついた。
この「3月のライオン」の世界は、現実の将棋界を完璧にトレースしていると思っていたのだが、実は一つだけまったく違う世界観で描かれていた。それは、この世界には「女流棋士」という物が存在しないと言うこと。もちろん、プロ棋士でいまだかつて女性がプロ棋士になった事実はないが、そのことではなく、どの世界でも女流プロという女性だけの団体が存在するのだが、このマンガの世界では、将棋を職業にしている「女流プロ」という存在さえないということ。

このことは実は重大なことであって、主人公の義理の姉・香子がプロ棋士を目指していた時、そこには奨励会しか存在していなくて、そこで無理なら将棋の世界で生きていくことが出来なくなってしまうという事実。
現実の世界では、過去に何人もの女性の奨励会員が存在したが、彼女らは奨励会2級以上で退会すれば女流プロに鞍替えすることが出来、全員が女流プロになり、しかも全員がタイトル戦出場経験を持っている。もちろん、父親がプロ棋士でその娘が女流プロになった例もいくつもあるのだが、この「3月のライオン」の世界では、女流プロという物が存在しないために、奨励会を退会すればプロ棋士になる夢は断ち切られてしまう。そのことを前提として物語を読まなければいけなかったのだが、そのことに気づいたのがつい最近という。これで長年の謎が解けた。

閑話休題。

今回の第13巻はいつものことではあるが内容が深い。で、これまでと違って、ハラハラしながら読む場面も無く、安心して読める。もちろん対局場面はドキドキ物だが、不安感無く入り込める。
また、盤外の物語も引き込まれる。前巻ラストで予感された三角関係がどう展開するのか、まだまだ先は長そう。で、暗くてたまらないはずの死神男・葬儀屋の棋士の物語も心に響いたり。それから香子の物語も映画での展開をトレースしていくようで、この先がとても気になったり。

話はどんどん進んでは行くのだが、いつまでも続いて欲しいように思う。

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映画「三度目の殺人」 [書評・映画評]

三度目の.jpg
殺人放火を犯した男は、かつて同様の事件で死刑になりそうな所を懲役30年の刑を終えて出たばかりだったため、再犯と言うことで死刑は免れなかった。敏腕弁護士が途中から担当に加わるが、結局死刑判決が出るまでの、ただそれだけの物語。

いろいろな事象がついてまわるが、やたら伏線を取り入れただけで、回収しきれないまま終わってしまうだけの、原案・監督の独りよがりの作品。

保険金目当ての嘱託殺人事件やら、家庭内レイプ問題やら、食品偽造問題やら、死刑廃止論是非とか、弁護士側にも離婚調停中の父親の歓心を得たいための一人娘による偽装万引きとか、30年前の事件の裁判官が弁護士の父親だとか、詰め込めるだけの物を一杯詰め込みながら、なんら回収しない。

もちろん弁護士には、調査中に知り得た依頼人の秘密を公表してはいけないという守秘義務があるから、食品偽造なども検察側が立件しない限り明らかにはされない。また被害者の娘が父親からレイプを受けており、それを公判で明らかにしようと決意しながらも、相談を受けていて、同じ年頃で別れて30年も会っていない自分の娘を思い描いた犯人の意志によって阻止されてしまうとか、闇の中に埋もれさせてしまおうという意志が強くて、結果として何も進展しない物語で終わってしまった。

なにもかもが中途半端なんだよね。犯人と弁護士、被害者の妻と娘にいい役者をそろえながら、顔見せだけに終わってしまったかのような印象。

タイトルの「三度目」というのは何だろう。2度目で死刑判決が出たから三度目を阻止できたと言うことなのか、犯人自身が三度目として選んだのが自分自身だと言うことなのか。自分を殺すのは殺人ではなく自殺になるのだが、本来無罪である自分に対して死刑という有罪判決を導き出したことが、罪の無い人間を殺す殺人と言うことになるのだろうか。

いずれにせよ、被害者の娘は、自分のために犯人を死刑にしてしまったという負い目を一生背負っていくことになるのだが。
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書評「陰摩羅鬼の瑕」 [書評・映画評]




白樺湖の側の豪邸に住む元伯爵が5度目の結婚式を迎えようとしていた。
過去4度、結婚式の当日夜に花嫁が殺されるという事件が起きていたため、親族は探偵を雇うことを提案。元伯爵はよりによってぶちこわし屋の榎木津礼次郎を招きよせる。しかし向かう途中で榎木津は急病で一時的に目が見えなくなる。結果、付き添いとして役立たずの小説家関口が来ることに。はたしてぶちこわし屋と役立たずに任務が果たせるのか。

うまい具合に、地元警察も護衛に付くことになり、過去の事件の資料が戦争で消失しているため、当時の担当で引退刑事に事情を聞くことに。しかしちょっとした手違いで、連絡が木場刑事に行ってしまう。しかし引退刑事がかつて京極堂とある事件に関わっていたことを知っていた木場は、その事件に関わっていた監察医の里村を通じて引退刑事を捜し当てることに成功。妻子を亡くして隠遁生活をしていた引退刑事は過去のその事件や亡くなった妻との関係を引きずっていて、憑きもの落としを必要としていたため、木場は事件のことを京極堂に告げるように提案する。

かくして、役立たず二人でどうなるかと思われた事件に、元敏腕刑事と京極堂が関わることとなって一安心、と思うまもなく、彼等が到着する前に5回目の惨劇は起きてしまう。

今回珍しく、いつもはワトソン役の関口が事件の真相に気づいてしまう。しかし真相を告げることが少しも解決にならず、かえって混乱と破壊を招くこととなることを知って躊躇するが、京極堂は憑きもの落としに必要だと告げさせる。はたしてその真実とは。

と言ってもだいたい途中で気づいてしまうのだが、だが混乱を呼ぶだけの真実には、うーん、そこまでしますか、と思ってしまう。
そして、伯爵が男性でなくて女性だったらそういうこともあるのかと思えるかもしれないが、さすがに無理があるような気もする。

そしてあの事件の目撃者は一体そこで何が行われているのを目撃したのだろうか。そこで行われている行為が理解できない。人間も動物の一種であり、動物的本能とは何だろうかと思ってしまう。誰も実験したことないのだが。

この物語、薔薇十字探偵社の事件の第2話に直接つながる話となっているのが時系列的に面白いのだが、全然関係ないとも言えるけれど。

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書評「百器徒然袋――風」 [書評・映画評]


文庫版 百器徒然袋 風 (講談社文庫)

文庫版 百器徒然袋 風 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/10/16
  • メディア: 文庫


前作「百器徒然袋――雨」の続編。京極堂シリーズのスピンオフであり、薔薇十字探偵社での事件を扱った物。前作が3話、今作も3作で、ど「僕」の苗字が明かされ、今作のラストで、読者も驚きの手段で本当の名前が明かされる。ということで、もう明かされる事実はない。
明かされたストリーテラーが実質主役なんだろう。このシリーズ、正確に表現するならば、「本島俊夫の災難シリーズ」と呼べばいいのかも。

合わせて6話の第1話で、榎木津探偵を知る人物から紹介されて事件の依頼に訪れたのが運の尽き。2・3話では興味もあったので、再三再四の忠告にもかかわらず近づいてしまって、とんでもない事件に巻き込まれて、もうたくさんというところで、今作では二度と近づくまいと決心したのにもかかわらず、不可抗力で関わることに。

後半の3話は連続したストーリーとなっていて、4話の事件をきっかけに6話でもってようやく解決するという、それぞれが独立した物語になってはいるが、続けて1巻という設定。そしてラストでは、主人公である本島俊夫が、もう彼等一味とは切れない関係になってしまったことを自覚することになる。

この4~6話、やけに本島俊夫の語り部分、プロローグが長い。そして、どういうわけか非常識探偵榎木津がまともな行動を取る場面も出て来る。
そもそも彼はあのキャラを実は演じていると言うことが明かされる。名前を少しも覚えてくれないというのも実は嘘で、知っているのに、単に面白いからからかっているだけだという。まあ冷めてしまうととたんに物語が面白くなくなってしまうのだから、ここが限界なのかもしれない。

ちなみに娘はこれを持っていなかったら、ブックオフまで行って購入してきた。

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書評「百器徒然袋――雨」 [書評・映画評]


百器徒然袋-雨 (講談社ノベルス)

百器徒然袋-雨 (講談社ノベルス)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/11/11
  • メディア: 新書


京極堂シリーズのスピンオフ。
シリーズ登場人物の榎木津が営む探偵事務所「薔薇十字探偵社」に持ち込まれた3件の事件をめぐっての中編3編。時系列では面白くなくて読むのを途中で辞めた「塗仏の宴」事件直後の物語で、事件の傷を引きずったままの登場人物が会話をする。当然読んでいないとわからないこともあるが、本編読むのを辞めたが、ネットであらすじだけは見ていたので、まあそれで十分だったかも。

常識外れの異能力を持つ探偵が中心なだけに、全編はっきり言ってコメディー。ただ今回はこれまでの次々と変わる語り手や、短気なワトソン役ではなく、落ち着いたワトソン役を用意したので読みやすくはなっている。新しいワトソン役は、この中編連作の第1話で依頼人として出てきたのにもかかわらず、魔法にかけられたように以後の物語にも登場させられてこき使われるという哀れな設定。最初は京極堂シリーズとは無関係な存在だからこそ、シリーズ登場人物を冷静に見ていけるという長所があって、外部の人から見ればこの「一味」は何なんだろうかという客観的な判断もできる。もっともその彼自体が徐々に「一味」に加えられていくのだが。
このワトソン、最後の最後で名前が出てきて、それまでは彼目線だから「僕」で十分だし、榎木津は名前を覚えようとしないからとんでもない名前で呼ばれてばっかり。最後に本名が出てきて、あまりにもまともな名前で、オチは無いのかよ~、と叫んでしまう。

中編3話だから読みやすい。不用な人物は出てこないから簡潔である。ただ困ったことに、映画のおかげで中心である榎木津が阿部寛としか思えなくてそれ以外のイメージが一切湧かない。

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